• 漆人五人衆

    摂津広紀、佐藤昭仁、加藤尚人、大関功

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    左から大関功さん(木地・塗)、加藤尚人さん(蒔絵)、佐藤昭仁さん(塗)、摂津広紀さん(蒔絵・塗)。平成14年は5人でスタートした『漆人五人衆』だが、メンバーの入れ替わりもあって、現在は4名で活動中。

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    ろくろを学んで木地も手がけている大関さん。

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    刷毛はコシのある人毛が使われている。  

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    下地固めがしっかり施される川連漆器は、木地がゆがみにくく長持ちする。

  • 展示会から始まった技術と表現の切磋琢磨

     平成14年、「一緒に何かやってみっか!」の一声が『漆人五人衆』のはじまりだった。「川連漆器の産地は問屋が商品企画や販売をしているから、職人たちはいわゆる問屋の下請け。自分のオリジナル商品というものがなかった。だからまずは自分たちの作りたいもの、表現したいものを作って見てもらおう」(佐藤さん)と結成翌年から毎年合同展示会を開催するようになった。そこで得られるものは「大きい」と皆口々に語る。
     「お客さんと直に接する中で見えてきたのは、自分がこれまで下請けで作ってきたものとお客さんが求めるもののギャップ。展示会を通して自分が作るべきものが見えてきて、今はほとんど自分が考えたものづくりに重きを置くようになった」と話し、合同展示会が大きな転機となったと振り返る摂津さん。大関さんも「自分が良いと思って作ったものとお客さんが思う良いものとの違いに気づかされる瞬間が多い。使う人の声を直接聞いて、商品作りに活かしています」と、より良い商品を生み出すきっかけの場としてとらえている。
     商品作り以外でも、魅力の伝え方や見せ方も工夫するようになった。「商品のストーリーを伝え、実際に使っている様子をイメージできるようなレイアウトにも気を配るようになりました」と語る一番若手の加藤さん。暗黙のルールとして、展示会当日まで他のメンバーへ何を出展するかは、敢えて伝えない。佐藤さんは「どんなものを作ってくるんだろうとか、こういうのをやったら驚くだろうなとか考える時間が増えて刺激になっている」と話し、メンバー間の程よいライバル関係が新商品開発や技術の切磋琢磨を自然と生み出しているという。『漆人五人衆』があったからこそ見つけられた、自分たちの表現の形。進化していく職人たちのこれからに期待したい。

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    木地に直接生漆を塗って丈夫な下地を作り、研ぎと塗りを繰り返す川連漆器は堅牢さが自慢。